学校防災デー
はじめに
答志中学校では、毎年年3回の避難訓練を行ってきました。加えて、昨年度1月下旬には、答志小・中学校運営協議会が主催で、初めて小中合同の避難訓練を地域と共に行うことができました。、今年度6月には、小中合同の登校時避難訓練を行うこともできました。こうして避難訓練をより現実的に具体的に設定するほど、生徒達の防災意識の高まりを感じます。
そこでいつもの避難訓練に加え、今年は「防災資機材の体験をしたい」と思い、鳥羽市防災危機管理室へ相談したところ、担当の方から「いつでも答志へ呼んでください。」「体育館にある資機材は使っていいですよ。」と応えていただき、計画の段階からアドバイスをいただいて進めてきました。
また、答志小・中学校運営協議会へ相談したところ、「町内会も協力するよ。」「消防団で水道設置訓練ができるよ。」とのお声を頂戴し、「防災デーに地域も参加したいわ。」と言っていただき、全面的にご協力いただけることとなりました。
答志消防団さんが鳥羽市水道課へ連絡していただいたので、当日は水道課から給水袋もいただき、答志の水道事情や遮断弁のお話を伺うこともできました。
このように、皆様のご協力のおかげで、初めての『学校防災デー』を行うことができました。内容が盛沢山な1日となったので、終わるころには疲労感が隠し切れない様子の生徒達でしたが、感想には、深い学びが溢れていました。「このような防災デーをすることによって、さらに防災への知識が付いたと思うので、防災デーをまた忘れないうちにすることが大事だと思いました。」との生徒の感想を受け、さらにブラッシュアップして来年度も行えたらと思っています。
ご協力いただいた皆様に感謝申し上げると共に、これからも答志中学校の地域と共にある防災減災教育の充実に向け、ご協力の程よろしくお願い致します。
活動の様子を生徒の感想と共にご紹介します。
日時等
日時:令和6年10月1日(火)8:45~15:10
場所:答志中学校(オープンスペース、体育館を中心に)
対象:全校生徒
目標
①災害発生時において、地域社会の一員として自分に何ができるかを考え、 行動に移せる態度を養う。
②防災資機材を実際に使用する体験を通じて、避難生活をイメージし、避難所で生活する際の心構えや在り方について考える。
1.講話「東日本大震災の傷跡から考えたいこと」8:55~9:35【上野教諭】
今年度東日本大震災の遺構を訪れる防災減災研修をされた本校の上野浩美教諭より「東日本大震災の傷跡から考えたいこと」というテーマで、実際に撮ってきた写真を使って、大川小学校や門脇小学校を中心に紹介していただきながら、お話をしてもらいました。
【生徒感想】
〇津波が来るときには、水だけでなく、火や瓦礫も流れてくることが分かっ た。山とかにすぐに避難した人たちは助かっている人が多くいたということが分かったので、自分もできるだけすぐに高い所へ避難しようと思った。
〇上野先生のお話は、去年とはまた違う写真を見させて頂いたりしたので、すごく興味深かった。鉄筋が津波で倒れたことが1番驚いた。100トンの力がないと無理なのに、いろんなものと一緒にやってくると分かった。気を引き締めて、次からの避難訓練に取り組む。
2.講話「地震津波発生時の避難所で中学生ができること」9:45~10:05【防災危機管理室:澤田さん】
防災資機材の体験の前に、鳥羽市防災危機管理室 澤田宏将さんから避難後の生活の様子やその時に「中学生に期待される地域住民としての役割」についてお話を伺いました。
【生徒感想】
〇まず第1に自分の命を守り、それから他の人のことを考える。中学生にし
かできないことがあると思うので、それをすることが大切だと思った。中
学生から行動していったら、大人も巻き込んで、みんなが行動をはじめる
と分かったので、中学生から行動することが大事だと思った。
〇中学生は「自分の命は自分で守る」そのために「想像力」は大切。避難所
で私たちにできることはたくさんあるので、率先して動いていこうと思っ
た。今日学んだことをいかして、落ち着いて行動できるように、「想定
内」をいっぱいにしておこうと思う。
〇「命は法律では救えない」という言葉が印象に残った。物などは助けても
らえるけど、自分の命は自分で守り抜かないと助からないので、すべを身
につけていきたい。自分たち中学生が地域の人たちに声をかけて、みんな
が守れるようにしたい。
3.防災資機材体験 ①~④ 10:05~11:10
縦割り4班で、①~④を各15分程度ローテーションで体験しました。
①簡易トイレ・仮設トイレ「どんとこい」・ラップポン
A:簡易トイレを組み立てて、ビニール袋をセットし、座ってみました。
〇組み立てと片付けはすごく簡単だけど、1袋に10人くらいの利用でいっぱいになりそう。
〇組み立ては簡単だけど、テントに置かないと使えない。
B:事前に組み立ててもらった仮設トイレ「どんとこい」(組立所要時間
40分)の使い方などの説明を聞き、中に入ったり使い勝手を体験したりし
ました。
〇少し暗いけど、すごく便利。紙を流さずに処理するのは、難しそう。
〇テントがあるからいいと思った。(中が)暗いから電気がいる。
C:防災危機管理室の方が持参してくださった熱圧式ラップトイレ「ラップポン」について説明を受けたり、座ったり、ビニール袋の口がしっかりと圧着されているのを見たりしました。
〇衛生面が守られていて、とても良い。しかし、価格が高い。
〇1回1回袋の交換に1分ぐらいかかる。電気がないと動かない。
〇自動だから、袋が縛れない人にいいと思う。高くて、1つ買うにも大変だと思った。
②非常用発電機の始動と充電体験
ガスボンベ2本をセットし、手動でモーターを回して、発電機を作動させました。和具町内会さんのご指導の下、ガスボンベ式のとプロパンガスの両方を体験させて頂きました。
〇この発電機は、ガスボンベ2本で1時間くらいしか使えないので、使用でき
る時間が限られるから、避難している人たちで協力し合って、効率的に使
用するのが大切。
〇避難所に、あと3台ぐらいあってもいいのにと思った。
③特設電話機
電話機の専用コードを設置し、学校や自宅へ電話をかけてみました。
〇電気がなくても使えるのはいいと思った。スムーズにはいかないかもしれ
ないけど、広い所で 1人何分使うかを決めておくといいと思った。
〇実際に使ってみて、公衆電話の使い方をあまり把握していなかったり、中
学校の電話番号を知らなかったから、災害時に電話をかけられるようにしておこうと思った。
④就寝体験(新聞紙、段ボール)
校舎の中の思い思いの場所で、新聞紙や段ボールを敷いて、寝てみました。
〇オープンスペースや廊下は過ごしにくくて、高齢者にはとてもきついと思
うので、PC室等の過ごしやすい部屋で過ごしてもらいたいと思った。
4.防災資機材⑤ファミリーテント・ロールマット設置体験 11:30~12:30
各班に、140㎝のファミリーテントを3基設置し、4人・8人・12人で入り、寝転んだり座ったりしました。ロールマットで床に寝て、体験④との違いについて考えました。体育館内にいた大人の方たちにも入っていただきました。この日、最高気温は29度超えで、体育館内の暑さを一段と感じました。
〇4人にはいい広さだけど、8人~12人は狭くて寝られず、生活するにはスト
レスがたまりそう。物は置けない。熱いときは大変。
5.水道訓練・設置体験⑥ 13:20~14:10【市水道課、答志消防団、学校運営協議会】
市の水道課の方から、水道タンクには、答志島の住17日分の生活用水が貯水されている事、震度5以上の揺れを感知すると遮断弁が作動し、いったん流れが止まること、復帰させるにはそれを開けなければならない事などを伺いました。その後、答志消防団の方による水道設置訓練を見学し、実際に水を出して給水袋を満たしました。その水を使って、班別にガスコンロでお湯を沸かし、ホットドリンクを作り、3のテントの中に入って飲み、今日を振り返りました。
〇いつも通っている道の所に、タンクにつながる水道管があることを知って
驚いた。災害があった時には、あそこから水を自分達で出して、みんなに
供給しないといけないのでいい体験ができた。
〇消火栓があるのは知っていたけど、使い方も知らなかったし、どんなもの
かも知らなかった。
〇水を協力して確保するので、自分も手伝いをして、助け合えたらと思っ
た。
〇地震が来た時に断水が起こることがあるので、やはり水を大切に使わなけ
ればならないことが分かった。答志にはタンクがあるけれど、これも澤田
さんのお話と同じで、油断をしてはいけないと思った。
6.講演「能登半島地震から学ぶこと」 14:25~15:00 【澤田さん】
本日のまとめとして、鳥羽市防災危機管理室 澤田宏将さんから、ご自身が能登半島地震のボランティアに2度参加した経験を踏まえて、鳥羽市の防災減災の現状や求められていることについてお話を伺いました。
【生徒感想】
〇能登のお話を聞いて、被害で大変なのに、子ども達のために安全なところ
で勉強させたり、自衛隊などからいろいろな支援をもらったりと、地域の
人たちの力はすごいと思った。もち地震が起こってしまったら、地域のみ
んなで協力して助け合って、自分にできることを率先していきたいと思っ
た。
〇澤田さんのお話を聞いて、能登の地震はテレビで見るより酷いと思った。
しかし、地元の人達は一切弱音を吐かずに前を向いていると聞き、自分は
何をやっているんだという気持ちになった。また、日本全国から支援にい
っていただいたと聞いた時、驚きと感謝でした。自信はいつ来るのか分か
らないので、当たり前のことを当たり前にできるようになりたい。